顎関節症(T M D)とは
- OFP CLINIC
- 2024年11月18日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年12月7日
この30年間の顎関節症いわゆるTMDに対する一般における関心の高まりは、その訴えの増加ということが背景にある。TMDは青年層(15~20代前半)で急増し、その男女比は1:3から1:9と働く女性に多く見られます(図1)。TMDは人口のおよそ6〜7%に発症すると言われますが、一般的な歯科治療と比較しても有症者の受診率は決して劣りません。北米における100万人の成人を対象とした欠勤理由は、第一位から、頭痛、腰痛、筋肉痛、関節痛他と報告されました。TMDはこの頭痛のカテゴリーに含まれ、上半身1/4(頭、顔面、頚部)における痛みがいかに我々の日常生活を、ひいては社会活動をも阻害しているかという事が理解出来ます。
図1

TMDにおいてよくみられる症状は1 開口時の制限、2 開口時の雑音、3 顎の痛み、の3つです。通常、TMD症状は下顎の運動と機能に直接影響を及ぼします。もっとも頻繁に認められる自覚症状は痛みであり(表1)、患者さんが受診する最大の理由となっています。
表1 TMD患者さんの症状(Solberg,1986より引用、改変)
症状 | % |
顔面痛(含む頭痛、歯痛) | 69 |
顎関節雑音 | 56 |
顎運動時痛 | 39 |
運動範囲制限 | 35 |
不快感(だるさ。つっぱり感) | 29 |
偏位(クローズドロック、ずれ) | 20 |
治療の成功は、われわれ医療者が患者さんの持つ症状にのみ注目して、他の発症に寄与する因子に注意を払わなかった場合に危ういものとなります。米国学会(AAOP)のガイドラインによれば、TMD発症に寄与する因子には、1.素地になる(素質的因子)、2.引き金になる(初発因子)、3.症状を持続させる(持続因子)、の3つがあります。なかでも「持続因子」は治療の成果に多大な影響を及ぼすとされます。それらには、ブラキシズム(歯軋り、くいしばり)などの悪習癖、悪い姿勢(頭部前方位等)、睡眠障害、ストレス、感情的な問題、不適切なダイエット、そして共存する医科的(全身的)な疾患などが含まれ、決して単一ではなく多因子であるということです。(次号に続く)
図2 TMD発症に寄与する因子

Comments