顎関節症(TMD)治療の国際的指針:解説
- OFP CLINIC
- 4月12日
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今回は、前号でお知らせした顎関節症(TMD)治療のための最新の国際的指針に、若干の解説を加えます。
一般原則:
1. TMDを管理するには、従来の医師中心の治療方針の決定および施術ではなく、十分な説明と教育を行なった上での、患者中心の意思決定が重要です。
病因:
2. TMDは、筋骨格系つまり筋肉や関節に起因する疼痛や機能障害などの症状を引き起こす疾患群です。
3. TMDの病因は、過去における“かみ合わせの異常”などの歯科的な問題だけでなく、生物-心理-社会的であり、かつ多因子性であると考えられています。
診断:
4. TMDの診断は、標準化され科学的に検証された病歴聴取と臨床評価に基づいて行わるべきです。
5. 画像診断は、標準化された病歴聴取、臨床診査に代わるものではなく、診断または治療に明らかな影響を与える可能性がある場合にのみ実施します。画像診断のコスト、リスクなども考慮すべきです。
6. 現時点では、筋電図の測定、顎運動の計測装置などによる評価がTMDの診断により優れているという科学的な根拠はないと考えられます。
治療:
7. TMDの治療は、痛みを軽減し、機能制限を改善するということを目標とします。治療結果は、あくまでも生活のQOL向上との関連で評価する必要があります。
8. TMDの治療は、セルフケアー(自己管理)の奨励、症状に関与する習癖、姿勢等の認知と改変、期間限定の口腔内装置の使用、理学療法など侵襲の無い保存的な方法に基づくべきです。外科的治療法は、この初期治療が奏功しない場合にのみ検討されます。
9. 歯を削ったりする噛み合わせの治療や、下顎の位置を大きく変える治療などは支持されていません。
口腔顔面痛とTMDの関連性:
10.TMDの中には、長期間にわたり疼痛が頭部・顎顔面領域に広がっていたり、頭痛などの他の疼痛疾患と併存していたりする場合があります。このような併発症を伴う症例では、他科と連携し全体を同時に治療する、いわゆるチームアプローチを行うべきです。
(次号に続く)



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